BPOの現場から業務可視化コンサルタントが語る

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BPOサービス第二本部 
BPOコンサルティング部 
プロセスエンジニアリング課 課長

山田 憲苗

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BPOサービス第二本部
BPOコンサルティング部 
プロセスエンジニアリング課

梶原 翔太

業務可視化コンサルティングとは?

梶原:業務の棚卸から入って、業務の流れ、業務工数、組織や運用体制などを可視化します。業務の流れはフローチャートにアウトプットしますが、ここにヒアリング、業務観察を通じて抽出した課題をプロットしていきます。
その後短期、長期の時間軸などを考慮して改善案を出す、というのが可視化フェーズの大まかな流れです。
解決の方針を決めた後は改善フェーズに入り、プロセス改善やRPA導入など具体的な解決策の実行までフォローします。
大まかにいえば、お客様の現状がどうなっているのかを明らかにして、具体的な改善アクションまで支援する、ということになります。

業務の可視化についてもう少し詳しく聞かせてください

山田:企業の共通機能である人事や経理を対象にした場合でも、お客様の業界、会社の規模、歴史などによって、状況は異なり、まったく同じにはなりません。これが難しさであり、面白さでもあります。
可視化した対象は改善ターゲットになるのですが、結果としてコンサルティングがBPOの上流工程になるケースもありますし、コンサルティングで完結するケースもあります。後者の場合、アウトプットは、システムリプレース時のシステム要件定義や、改善への投資判断、予算策定などに活用していただいています。最近は事務処理センターの改善が多いですね。

コンサルティングがBPOの上流工程になる場合、気を付けていることは?

梶原:コンサルティングの結果、BPOで成果があがることが見込まれる場合もあれば、そうではない場合もあるので、そこはハッキリお伝えしています。実際にあったケースで、業務が標準化されていない状況で工場の全業務をBPO化したいというご要望を頂きましたが、10パターンの業務に10チーム作って対応するのであれば、単純なコスト増やサービス品質低下などの問題が生じかねません。
私たちはBPOを活用するケース、インソースで対応するケース、双方のメリット・デメリットを知っているので、コンサルティングの過程でそういう情報も提供しますし、お客様がBPOに対する高い期待値をお持ちの場合でも、コンサルティングの結果によって私たちが出した答えは正しくお伝えすることを徹底しています。

課題抽出・解決方針の決定について聞かせてください

課題抽出は、事実情報をベースに複数の視点で行います

山田:可視化した事実情報をベースに、複数の視点をもって課題を抽出します。業務停滞、非効率、ブラックボックス、過去のインシデントなどの視点から抽出した課題と、お客様の持っている課題感を照らし合わせて協議し、具体的なアクションを決定していきます。
ポイントのひとつは、レイヤー別のヒアリングですね。マネジメント(部長)層、リーダー(課長)層、担当者の3層にお話を伺うことが多いのですが、当然ながらお持ちの課題感は異なります。
部長は比較的大きな視点で、部門連係を含む課題や、3年5年といった中長期的な時間軸を見据えた課題感を持たれており、担当の方は直近の業務処理そのものに対するオペレーションの細部に踏み込むものが多く、課長はその中間という感じです。多面的な課題抽出を行うには、こうしたレイヤー別のヒアリングが必要不可欠です。

最近の業務可視化コンサルティング事例から見える、お客様のトレンドのようなものはありますか?

山田:お客様により様々ですが、新技術に対する関心は高いという印象があります。新しい技術を取り入れることにより、業務をどう変えられるのか、どうすれば良くなるのかを、ユーザー目線で提案して欲しいという声は少なくありません。

梶原:働き方改革に起因する案件も増えています。働き方改革プロジェクトのアウトプットとして残業をどう減らすかという話だったり、リモートワークがしたいので電子化したい、人員不足なので生産性を上げたいなど、課題の形としてはさまざまです。弊社ではRPA導入支援も可能なので、RPAを活用した業務効率化のご要望にもお応えしています。

山田:お客様からはAIが話題にあがることもありますが、AIよりはRPA、つまり自動化の部分のニーズが強い。画像認識や予測よりも自動化の方がイメージしやすく即効性が高いから、と言えるのかもしれません。

キヤノンビズアテンダの業務可視化コンサルティングの強みは?

山田:私たちは業務運用を行うBPOベンダーで、運用実績を活かしたコンサルティングを展開しています。
そういった意味でとてもユニークだと思いますね。例えば、SIerや戦略コンサルのアウトプットやフォローは業務処理手順までは落ちないことが多いですが、私たちはそこに強みがあります。
私たちのコンサルティングやBPOの経験に基づく業務処理上の課題をお客様にお話しすると、強い共感をいただきますね。

梶原:「自分たちの目線で話をしてくれる」とか、「コンサルタントが来るというのでもっと固い人が来ると思っていたら、日常の困りごとをちゃんとわかってくれて安心した。」という言葉もいただきますね。
私はプロセスエンジニアとして、お客様にコンサルティングしていますが、業務の安定化、効率化、生産性向上などのありたい姿を、可視化・課題抽出・改善という過程を経て実現するのは、まさにプロセスエンジアだなと感じます。

業務運用を行うBPOベンダーとして、運用実績を活かしたコンサルティングを展開することが強み

お客様から評価いただくポイントは?

山田:一言で言えば、可視化と改善について、手法を提供し実現を支援する、という点です。
例を挙げるときりがないのですが、例えば10名のメンバーの生産性の高低、インシデントの多少などをヒアリング、業務観察などを通じて定量的にアウトプットし、要員のスキルチェックを行ったケースでは、「そういう視点が無く、自分たちではここまで分析できなかった。経営に話す良い資料になった」というお言葉をいただきました。
10年来続けている自社の業務処理を客観評価するのは難しいと思います。このアウトプットは組織編制のベース情報となり、経営への提言資料として活用いただきました。

梶原:先程も出ましたが、レイヤー別のヒアリングが重要で、多段階の階層の声を客観的に収集・可視化・分析することでマネジメント方法、報告内容、業務処理の方法など、いろいろな側面から課題が見えてきます。
多くのお客様と接していると、階層間の固定観念のようなものを一度外して客観視することも価値の一端だと感じるようになりました。業務コンサルティングですが、業務だけでなく、組織、人、業務の3つを広く見ることが、喜んでいただけるポイントだと思います。

山田:一度案件に入ると、次に指名で継続オーダーが入ることが多いですね。採用時にヒューマンインターフェースも重視しているのですが、リピートの要望をいただくというのはアウトプットのみならず、立ち振る舞いなどを含めて高い評価をいただけた証だと捉えています。

今後の抱負について聞かせてください

梶原:コンサルタントはお前が商品だと叩き込まれているので、ヒアリング力、資料の作り方など自身のスキルを向上させていきたいです。また、自分の仕事にすぐに役立つことではなくても、興味の幅を拡げて知識を貯め、お客様に刺激と良質なアウトプットを提供していきたいと思います。

山田:今後高齢化が進み労働人口が減少するなかで、業務の生産性、品質を維持・向上するために、どうアプローチするのか。人と業務のソリューションに纏わる戦略を業務コンサルティングの立場から考えていきたいですね。具体的なアクションとしては2点あります。
1点目は、業務可視化、文書管理、RPAなど、現在の業務コンサルティングをベースに新しい技術、トレンドを取り込んでいくこと。業務可視化ではPC上の業務を可視化するタスクマイニングツールを用いたコンサルティングを開始しています。
2点目は、人と組織を強化すること。コンサルティング対象の業界・業務に強いエキスパート人材を増員したいと考えています。これに若手を加えつつ、個を強くしていきます。1を2にするようなイメージですね。
実際のコンサルティングでは、チーム化を強化することで、吸収できる情報の量・提供するアウトプットの質を担保していく考えです。

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