システム開発・社内DX推進を支えるセンター型ヘルプデスク

導入企業 株式会社南海エクスプレス 織戸 康次氏とキヤノンビズアテンダ株式会社 橋本 伸一の写真
橋本 伸一の写真

キヤノンビズアテンダ株式会社
BPOサービス第二本部 BPOサービス一部 部長

橋本 伸一

織戸 康次 氏の写真

株式会社南海エクスプレス
ITイノベーション推進部 部長 

織戸 康次 氏

会社名
株式会社南海エクスプレス
提供サービス名
社内ヘルプデスクBPO(センター型ヘルプデスク)
運用開始
2022年6月~
業務概要
社内ヘルプデスク・付帯業務
体制
幕張BPOセンター対応

拡大するITイノベーション推進部の役割

かつてのITイノベーション推進部は、情報システム部門としての社内向け役割がメインでした。
10数年前は、私を含めた2名で160人のITをサポートしていた時期もありましたが、その後ITで解決すべき課題が増え続けたこともあり、昨年には5名体制に増員しました。
現在では、社外のお客様企業に向けたシステム開発事業をスタートしています。

システム開発事業をスタートした理由は幾つかあります。
私は、かつてシステム開発ベンダーに在籍し、システムでお客様の課題解決を実現してきたので、システム開発を通じて価値提供できるという思いを持っていました。
さらに、当社の事業を通じて、倉庫や輸出入といった事業を営むお客様企業ではIT部門を持たないことも多く、また部門が存在していてもITを通じた課題解決の余地が大きいと感じていました。
そこで、2022年6月、それまで会社の定款に無かったシステム開発事業として「コンピューター・ソフトウェアおよびクラウドサービスの企画、設計、開発および保守」を、定款修正により追記し、事業化に踏み切りました。

キヤノンさんにヘルプデスクを委託することで、部門メンバーの工数を捻出して、システム開発事業や社内のDX推進といった領域に役割シフトを進めています。

システム開発事業では、当社のビジネスや私の経験と親和性の高い、在庫管理システム、基幹システムなどで課題をお持ちのお客様にご提案を進めており、オラクルNetSuiteの導入支援など、実績が出始めています。
社内DXの領域では、日本主導で基幹システムの入れ替えを進め、シンガポール、マレーシアのリプレースを完了しました。今後は、日本、アジア、アメリカと進めていく予定です。

導入前の課題

ヘルプデスクサービス導入前の課題は5点ありました。
まずは、社員の役割シフトの実現です。社員が担当する業務を「ユーザーサポート」から「システムの設計・開発などの外向けの稼げる業務」にシフトするためには、ユーザーサポートのノウハウを持っていて、運用後も継続してノウハウを蓄積し、質の高い均一のサポートが提供できるサービスベンダーが必要でした。

次に、急増するユーザーに対応するための体制整備が求められました。
事業拡大の方針に連動して、2021年からの2年間で従業員数が220名から270名となり、サポート対象ユーザーが急激に増加したため、これに対応できる体制が必要でした。

3点目は、複雑化するIT環境への対応です。
背景には、お客様からの貨物に対する要求が高度化、多様化してきたことが挙げられます。
例えば、「輸送中の貨物の温度管理が適切に行われたというエビデンスを提示するために、貨物に温度計を設置してシステムで管理して欲しい」という要望があれば、そこにITのサポートが必要になります。
こうした要望が増えるたびにサポートの範囲は拡大し、難度も上がっていくため、均一の品質でサポートしていくことは難しくなっていました。さらに、社内システムのリプレースやクラウドサービスの導入といった社内のIT環境の変化にも対応する必要がありました。

4点目は属人化の解消です。
社員は少人数で多くの業務を担っているため、優先するのはナレッジ化よりもユーザー対応となり、結果として属人化が続いていました。
また、中長期的な視点では、世代交代を考慮して次の世代に向けてナレッジを残していく必要もありました。

5点目はオフコンサポートの継続です。
お客様の個別要望への対応やクラウド化など、新しいものをサポートすることと並行して、従来から基幹システムで利用しているAS400のサポートを継続する必要がありました。
現在、基幹システムのリプレースを進めていますが、EDIでの請求データの取扱いなどではAS400の利用が残るため、AS400のサポート有無は委託先ベンダーを選定する際のポイントでした。

株式会社南海エクスプレス 織戸 康次氏の写真

サービス選定のポイント

ヘルプデスクサービスの選定にあたり、5社程度の候補を検討しました。
最終的にキヤノンさんに決定した理由はいろいろあるのですが、最初のポイントは営業段階でした。
当初は、当社の大阪オフィスにキヤノンさんのメンバーが常駐してサポートするというご提案だったのですが、当社の要望をお伝えした結果、幕張BPOセンターで対応するという新しいご提案をいただきました。
私から直接幕張BPOセンターにコンタクトをとることは無かったので、これは大きかったですね。

要件としては「基幹システムであるAS400をサポート範囲に入れてもらえるか」「手順書をゼロから一緒に創ってもらえるか」という2点が重点ポイントでした。
当時、手順書は充分に整備されてなかったので、「作った手順書を提示してください。その通り運用しますから」というスタンスのベンダーさんでは厳しかったですね。
他社さんが対応できなかったこの点を、幕張BPOセンターでは実現できるということで、ナレッジを蓄積して世代交代を進めることも含め、キヤノンさんと一緒に進められそうだという期待が持てました。

導入スケジュールについても、無理を聞いていただきました。
カットオーバーの時期から逆算してスケジュールを設定し、結果的にはミーティング回数も最小限という効率的な進行で、3か月程度で立ち上げることができました。

社内運用コストと委託コストを比較してコストメリットはありましたし、さらに外向けのビジネスのための工数捻出効果も見込めたため、コストパフォーマンス面も評価できました。

こうした提案の内容はもちろんですが、最も良かったと感じたのは、キヤノンの皆さんの人柄かなと思います。こちらの要望を聞いてもらえる話しやすい雰囲気を創っていただけますし、同じ目標に向かって一緒に良いものを創ってもらえると思い、キヤノンさんにお願いするのがベストだということになりました。

委託内容は、電話、メール、ワークフローなどのチャネルを通じて、従業員からの多岐にわたるIT関連の質問や依頼に対応するサポート業務をお任せしています。サポート対象は、大阪と東京のオフィス、空港やロジスティクスセンターなどの国内全12拠点、約200名です。
エスカレーション先は基本的には当部門宛がメインですが、倉庫システムや基幹システムの作りこみ部分などは社外SIerへのエスカレーションまで担当いただいています。

キヤノンビズアテンダのヘルプデスクは運用に不可欠なパートナー

キヤノンさんのヘルプデスクは、設計時の手順書の品質が高く、運用に入ってからの日々のサポート状況も報告を通じて把握できています。
問い合わせの経過や結果は、問い合わせ履歴の集計・分析レポートとして、毎月提出していただいているのですが、改善プランの提案も含まれているので、トレンドを掴み改善を検討するきっかけになっています。ナレッジは、独自ツールで管理されており、ユーザー対応に役立っていると感じています。
最初はエスカレーションもありましたが、キヤノンさんだけで解決というケースが、かなり増えてきました。
現在はエスカレーションがほぼ無い状態で、私がヘルプデスクで使う工数も、ほぼありません。報告を見たり、時折エスカレーション対応する程度で済んでいます。

キヤノンさんはBPOの会社なので、ヘルプデスクに加えていろいろなことをお願いしています。
新入社員入社時のマスタ登録、異動時の部署変更など、問い合わせをトリガーにしない業務も担当していただいていますし、社内メールをウオッチして主体的に対応内容を予測・提案していただくこともあります。

エンドユーザーからの評価も高いですね。
例えば、ヘルプデスクサービス導入前は解決まで日をまたいでいたものが、導入後は即対応、かかっても数時間となり、対応スピードが速くなったという声が挙がっています。
また、現場からは「社員のような感覚で親切なコミュニケーションをとってもらえた」という声も聞いています。
以前は私たちが問い合わせ対応をしていたので、ユーザーのITリテラシーや質問の型のばらつきがあることは理解していました。テンプレートを読み上げるような画一的な回答ではだめで、ユーザーに合わせた柔軟な対応が必要ですが、キヤノンさんはこれを実現してくれました。
ヘルプデスクの運用担当の方の名前が社内で挙がるようになったのには驚きました。外部ベンダーさんでは珍しいことだと思います。

キヤノンさんの運用担当の方からも「当社の仕事が楽しい」という声が挙がっていると聞いたのですが、これも嬉しいですね。私からも自身の経験でプラスになることを伝えていきたいと思っています。

信頼感はかなり高く、キヤノンさんは当社のヘルプデスク運用に必要不可欠なパートナーですね。

センター型ヘルプデスクについて語るキヤノンビズアテンダ株式会社 橋本 伸一と株式会社南海エクスプレス 織戸 康次氏の写真

新たな取り組みへの挑戦は続く

ヘルプデスクの次のステップとしては、ChatbotやRPAの導入を検討していきたいと考えています。
実は最初の提案時に、第2、第3のフェーズとしてChatbotやRPAを提案して頂けるというお話があったので、ヘルプデスクへの問合せ自体を減らす効果や効率化を期待しつつ、今後一緒に検討していけたらいいなと思っています。
サポート範囲の拡張という部分では、英語メールでのグローバルサポートも視野に入れています。

また、現在依頼しているヘルプデスクは、ITヘルプデスクに限定されていますが、エスカレーションが減り、ユーザー評価も高く、成果が出ているので、人事、給与などの管理部門系の問い合わせもキヤノンさんにお願いして、社内全体のヘルプデスクをお任せすることもできるかも知れません。

私自身、新しいことに取り組んでいくことが好きなので、キヤノンさんにヘルプデスク領域をしっかり対応していただき、ITイノベーション推進部は外向けのシステム開発を筆頭に、新しいことへのチャレンジを続けていきたいと考えています。

株式会社南海エクスプレス 織戸 康次氏の写真
会社名
株式会社南海エクスプレス
本社所在地
大阪市浪速区難波中1丁目10番4号 南海SK難波ビル12階
事業内容
貨物事業(航空貨物代理店業務及び輸出入通関業務、海上貨物運送取扱業務、貨物運送取扱業務、倉庫業)
ウェブサイト
https://www.nankai-express.co.jp/

※本事例の内容は取材当時のものです。

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