RPA導入は業務プロセス見直しの絶好機

導入企業 株式会社JR東日本建築設計 小林 正樹 氏の写真
小林 正樹の写真

株式会社JR東日本建築設計
技術本部 技術企画部 部長

小林 正樹 氏

会社名
株式会社JR東日本建築設計
提供サービス名
RPA導入支援コンサルティング
提供サービス概要
業務設計、RPAシナリオ設計、シナリオ作成
導入時期
2018年9月

RPA導入前の課題

2007年の建築士法改正により、設計成果物データの保存や、業務実績の報告が義務化されたことを受けて、弊社では成果物データのデータベース化や、基幹システムからの業務管理台帳出力など、社内対応を進めました。
現在では年間約1,000件の台帳と図面データをデータベースに登録していますが、取扱物件数の増加に加え、設計図も2Dから3Dへと、データのファイルサイズも大きくなり、2013年に600GBだった取扱いデータ量は、2016年に2TBまで大幅に増加しました。
技術企画部では、成果物をデータベースに登録し、設計者からの問合せに対応するため随時作業記録をつけています。さらに、誤操作や上書き防止のためデータを都度バックアップしているのですが、バックアップ時には人がPCの処理完了を待っていました。1件あたり平均2GBのバックアップにかかる時間は2分程度。他の作業に取り掛かるには短すぎるので待ってしまうんですね。短い時間ですが、これを積み重ねると年間133時間程度のロスになります。
また、年度末など竣功物件が集中する時期は、成果物提出からデータベース登録まで3か月程度かかるなど、人手不足に陥っていました。派遣スタッフでの増員対応も行いましたが、期間で人が入れ替わるたびに最初から覚えていただかなくてはならず熟練度にばらつきが出て、人数が3倍になれば、処理量も3倍、という結果には繋がりませんでした。
人間の作業によるデータ整理には限界があり、今後の他の手段で効率化が必要だという考えに至り、人を増やさず業務を効率化する方法としてRPAによる自動化の検討に入りました。

導入効果を定量化することがポイント

株式会社JR東日本建築設計 小林 正樹 氏の写真

人を増やすのではなく、ロボットを導入することで業務を効率化するのは、働き方改革を推進する経営方針と合致していたので、社長からはすぐにOKをもらいましたが、初めての取組みのため社内で理解を得るのは簡単ではありませんでした。
AIに期待されるような自律的な判断が含まれないことへの期待の落差からはじまり、RPAで何が出来るのか、どの程度効果があるのかが見えないという疑問や懸念があったので、これは数値で説明するしかないと思い、資料化を進めました。現在の業務処理時間とRPA導入後の処理時間の違いを比較して、誰が見ても効果がわかるようにし、約5割の削減効果を見込んでいると定量的に明示して、導入が決定しました。
私たちがWinActorの導入を決めた2018年の1月頃、販売会社はあっても、導入コンサルティングを提供している会社は少なかったのですが、キヤノンビズアテンダさんは早くから導入コンサルティングを提供していました。以前から電子化サービスでお付き合いがあり成果も良かったので、代理店の中でもキヤノンビズアテンダさんがいいなということで導入を決めました。

RPA導入は業務プロセス見直しの機会になる

私は前々から、個人に頼るような属人化した状況をなくし、チームで仕事をまわす体制の構築に着手していました。例えば誰かがインフルエンザで休んだ時に仕事が回りませんでは困る訳です。他の人がカバーできる体制を作る。そのために自分たちの業務を書き出したり、派遣スタッフの入れ替わりに対応できるようなマニュアル化を進めていました。
しかし、それでもRPAで処理をさせるには不足がありました。RPAでシナリオを書くというのは、機械が処理できるように業務手順を正確に書き込んでいかなければなりません。これが「人への引継ぎ」と「RPAのシナリオ作成」の一番の違いですね。

まずはRPA導入対象候補のプロセスに絞って業務の棚卸を実施しました。棚卸した後は、INPUT/OUTPUTを明記したり、人とRPAの領域を区分するなど、細かい作業手順を追記して、その後シナリオ作成という流れです。現場のスタッフを巻き込み、実際にオペレーションをしている人に操作を書き込んでもらいました。
対象にした業務プロセスは、帳票と設計図書のデータベース化業務で、80種程の小さいモジュールを組合せ、最終的なシナリオ本数は20数本となりました。

RPA導入支援コンサルティング 支援概要
現状業務の棚卸1.0か月
作業手順明確化1.5か月
シナリオメイキング・テスト1.0か月
本稼働-
RPA導入支援コンサルティングについて語る株式会社JR東日本建築設計 小林 正樹 氏の写真

RPA導入支援コンサルティングで良かったポイントは3つありました。
1点目は、今お話ししたようにRPA導入を推進できたこと。
2点目は、日々の業務を見える化し、細かくシナリオを作成して行く過程で、無駄な作業や、念のために行っていた余分な作業が明らかになったこと。単に作業が楽になるだけでなく、自分たちの業務を見直す事で業務の重要性を再認識し、理解を深める事が出来る良い機会にもなったと思います。
3点目は、私たちが非効率だが仕方ないと思って実施していた業務プロセスについて、第三者の視点から指摘していただいて、見直しを図ったこと。自分たちではなかなか気づかないプロセスの矛盾点を指摘してもらえたのは大きいと感じましたね。

仕事の流れを見える化するということは、仮に私がいなくなっても、他の人が業務を進めることができるということです。
RPAで効率化することは大事ですが、自動化がすべて正ではなく、停電や災害等で停止するなどの不測の事態が起きた時に人間が対応できなければならない。ノウハウを可視化して、残していくことで、業務を他の人に渡せる状態にすることが重要です。そうでなければ自動化しても維持できないと思っています。

60人日分の作業時間を削減

今回のRPA導入による作業時間の削減効果は、年間で60人日分と推定しています。受付処理約83時間、データのバックアップ・データベース登録に伴うファイルコピー約133時間、作業記録約250時間です。
繰り返し作業はRPA専用機で自動化したので、個人PCの作業環境が向上して作業効率は大幅に向上しました。
操作ミスもなくなり、人は判断を伴う作業に集中できるようになりましたね。
費用対効果も見えたところで、RPAの稼働動画を作成して社内プレゼンを行いました。今では社内の期待も強く、具体的に、こんなことできないの?という問合せが増えています。
現場からの反応も顕著で、特に営業部門のデータ入力担当者、人事部の固定業務担当者から、これは自動化できないか、という問合せが来ています。

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RPAによって生まれる時間を、別のことに使っていきたい

社内で水平展開していくための具体的な動きとしては、ワークスタイル改善委員会内のRPA推進分科会に各本部から参加してもらいました。どんどん自動化を進めていこうということで、今後適用先が増えていくのは確実です。
特に会社の仕事をバックアップする部門は、人海戦術ではなくRPAを使った効率化を進めていきたいですね。
人事面では建築資格情報のインプットの自動化、経理面では数字のチェックやレポート化、営業面では報告書作成などにRPAを活用できそうです。将来的にはAIなどの技術も取り入れながら、設計作業を効率化する術も検討していきたいと考えています。
私の部門でも、他の業務へ展開を進めたいので、今後もキヤノンビズアテンダさんの導入支援サービスの利用を継続して、お力を借りながらやっていこうと思っています。
RPAによって生まれる時間を、別のことに使っていきたい。それを追求していきたいですね。

会社名
株式会社JR東日本建築設計
本社所在地
東京都渋谷区代々木2-1-5 JR南新宿ビル
事業内容
駅、駅施設、商業ビル等の設計
ウェブサイト
http://www.jred.co.jp/

※本事例の内容は取材当時のものです。

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