BPOの現場からヘルプデスクリーダーディスカッション

佐藤 和紀

BPOソリューション本部
BPOサービス二部 部長

佐藤 和紀

浅田 功

ビジネスパートナー第一本部
コンタクトセンターサービス部 部長

浅田 功

鈴木 潤

BPOソリューション本部
コンタクトセンターサービス部 第一課 課長

鈴木 潤

今回はヘルプデスクBPOサービスのプロジェクトマネージャーのみなさんに集まっていただきました。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

佐藤:ヘルプデスクに携わって20年程ですね。そのうち10年は、大手証券系のお客様のヘルプデスクが中心でした。現在はディスプレイ業界大手のお客様向けのヘルプデスクを担当しています。

浅田:私はこの中では一番長くて、ヘルプデスクサービスを提供して24年になります。以前はコンサルティングファームのお客様向けのヘルプデスクなどを担当していましたが、ここ10年ほどはキヤノンマーケティングジャパングループが提供するソリューションのヘルプデスク、コンタクトセンターに携わっています。

鈴木:エネルギー系大手のお客様センターを中心に20年程担当してきました。ヘルプデスクというよりは、フルフィルメントに近いのですが、エンドユーザー向けの問合対応のほかに、代理店様や審査機関など多くのステークホルダーとの連携が必要なセンターでした。現在は金融系のお客様向けヘルプデスクを担当しています。

ヘルプデスクについて長いキャリアをお持ちですが、そんな皆さんの視点で最近のヘルプデスク業界の変化というのは?

佐藤:ヒューマンインターフェイスが不要なサポートが増え始めていますね、チャットボットとか。相対的にテキストコミュニケーションの重要性が増していると感じます。意思決定が不要かつ自動化出来るものはRPAを導入して効率化したり、ビックデータやAIもそうですが、ヘルプデスク業務にテクノロジーを適用・導入する流れは以前より確実に強まっています。

浅田:最近のトレンドは各種メディアでも紹介されている通り、「AI(人工知能)」「CX(カスタマー・エクスペリエンス)」「アクティブサポート」 に注目が集まっています。AIやアクティブサポートについては担当する複数のプロジェクトでも検討が始まっていますが、費用対効果(初期・運用のコスト増加)、維持管理工数の増加、複雑化等を踏まえ、なかなか導入に至らないプロジェクトが多いのも事実です。カスタマー・エクスペリエンスについても、これまでのCS(顧客満足度)調査から進化させ、より多くの部門で連携した活動が必要になるため、言葉としては出るものの実現に至らないプロジェクトが多いと思います。とはいえ、いつその時が来ても慌てることがないように、私が担当するプロジェクトではAIやアクティブサポートの基礎情報となるナレッジ構築・運用の精度向上のため、ナレッジセンターサポート(KCS)の定着と高度な運用に注力しています。

テクノロジーの進化に伴い、サポートの形も徐々に変わりつつあるということですが、次は日々運用管理されているプロジェクトに視点を移してみたいと思います。どのようなプロジェクトでも、立上時はさまざまな苦労があると思います。現在担当されているプロジェクトの立上当初を振り返ってみるといかがでしょうか。

佐藤:他社運用から弊社の単独運用に切替り、切り替え当初2週間は応答率が40%台だったので、ユーザーから「電話が繋がらない」などのクレームが発生しました。そこからすぐに改善に着手し、コミュニケーター対応フロー(受付→回答→対応ログ・ナレッジ記載→待機・オープン)の見直し・短縮化や、マインドセット、SVの管理方法改善、待ち呼可視化などのスキームを見直し、その後1週間で応答率80%台をキープ出来るところまで改善しました。たいへんでしたね。

鈴木:他社運用時の応答率はどのくらいだったんですか?

佐藤:他社はCTIを導入していなかったので、わからなかったんです。お客様と以前運用していた他社からの報告数値に基づく仮説から始めたため、当初ギャップが生まれてしまった。

鈴木:そこからの改善は素早かったですね。

佐藤:コミュニケーターの意識を変えることが大事だと考え、全体のモニターではなく、各自の自席に2ndモニターを設置しました。待ち呼の状況を常にコミュニケーターが把握できるようにして、素早く受付可状態になるように意識付けしたのが奏功しました。

浅田:私のプロジェクトはそれをやりつつ、全体の意識付けのために大型モニターにも映しています。アフターコールワーク(後作業)状況が長い人は短くしたいという気持ちが芽生えますね。さらにコールバックリストを表示して、10分以内に折り返すこともKPIにしています。可視化することで、意識向上に効果が出ていますね。

佐藤:意識向上の効果は感じますね。その後も毎月平均応答率の改善を続けて、現在は90%台を維持するところまで来ました。まだまだ改善できることがたくさんあるので、ここからが大事です。

浅田:私の担当しているコンタクトセンターは半年間の準備期間(設計・構築フェーズ)を経て2009年12月にオープンしました。ご契約前の商談支援、受注時の契約処理、機器やサービスのキッティング、出荷~アフターサポートまでを一気通貫のプロセスで運用するセンターです。高度で複雑なコンタクトセンター運営だったので、オープン後も想定外の対応が多く、運用が安定するまでに約3年を要しました。非常に長く複雑なプロセスの構築~安定運用は、それまでに経験したヘルプデスク/コールセンターのノウハウを総動員しても追いつかない程、大変でした。 「生みの苦しみ」とは、この事だと思います。
この時期に実感した事は「目的・目標(ゴール)を明確にしたうえで、計画する、議論・検討し可視化(文書化)する、関係者で合意する、適用・実行する、見直す(点検する)」ことの重要性です。簡単に言えばPDCAですが、大変な時ほど、この行動を確実に行うことが成功への近道だと実感しました。

佐藤:「PDCAはどう?機能している?」というのはお客様から尋ねられることがありますね。PDCAをまわして最適化を進めて欲しいというニーズは以前より強くなっていると感じます。内外の環境が変わり続ける中で、今の状態が最高であり続けるわけはないので当然のことなんですけどね。エグゼクティブ向けの報告を創る時などは特に顕著で、お客様の現場責任者の方との間で、結果だけでなくスキームやプロセスまで、改めて話題に上ることが少なくない。

浅田:立上げで大切なのは、このプロジェクトがどこに向かうか、という目指すポイントを合意すること。そして、一見手間がかかって遠回りに見えても、きちんとプロセスに乗せて対応することが必要だということをお客様に理解していただくこと。これが最重要だよね。

佐藤:ひとつの話をしていても皆思っていることが違うということもあるし、文書化されていないと議論の中で空中分解してしまうことがありますよね。

鈴木:長いおつきあいを続けていくと、お客様側の責任者や担当者の方が変わっていくことも多いですよね。私たちが一番長く携わっているという状況が生まれてくる。

浅田:そんな中で、合意した内容やプロセスを年1回とか、定期的に見直すことが大事だよね。見直して次の目標に反映させていくことが大事になってくる。

鈴木:サポート対象ごとに対応範囲をしっかり見直すことも大事ですね。

ゴールやサポート範囲などの見直しが大事ということは、当初定義したところからの変化を再定義することが難しいと言い換えられるように思えます。少し込み入った話になりますが、再定義が難しいのはなぜでしょう?

浅田:言葉が適切じゃないかも知れませんが、面倒くさいんだと思います。再度スコープを定義するのはお客様自身の手間がかかる。今回はこのままで良いかな、という思いが、お互いグレーゾーンを残しがちになるんだと思います。だからこそ、当社のBPOのやり方を理解していただき、合意の上で、進めるのが大事。最初に前提を共有することが大事ですね。途中でそうした話をすると合わせていくのは大変だと思います。

鈴木:お客様の気持ちを考えると確かに、面倒だと思います。ひとつのサポート範囲が狭まると、その分をどこがサポートするのか、という話にもなってしまう。調整にパワーが必要になるし、ユーザーに不便をかけるわけにもいかない。

浅田:そうした範囲をしっかり認識することにお互いメリットがあることが伝わってないんじゃないかな。範囲を明確にすることが生産性向上に繋がる。生産性が上がることによってコストメリットを享受することができたり、結果的にサポートのスコープが現在を上回るようにもなる。

佐藤:いらないものは排除して工数削減したいというのはありますよね。お客様側の立場から言えば、「ユーザーは適切な窓口に問合せして欲しい」というのがあると思います。

鈴木:目的、目標、ゴールは必ずしも明確になっていないこともありますよね。

浅田:そう、そこを当社が、「こういうことですよね」と文書化して提案すること。提案に対してお客様から意見をもらいブラッシュアップして、合意を得て、確定していくことが大事だよね。

鈴木:人によって意見が異なることもありますからね。

浅田:そこでも異なる意見を可視化して、合意のポイントを落とし込むことが大事だよね。
文書にするといやらしいかなと思って文書化しないと問題の種となるので。

鈴木:ファシリテーションも大切ですね。

みなさんが担当されているプロジェクトがお客様に提供している価値とは

鈴木:現在のヘルプデスクは、ユーザーの最前線に立っていて、本来対応していないような照会も入ってきます。ユーザー側からすれば「先ずはヘルプデスクにかけてみる」という状況になっていると言えますね。私はこれをポジティブに捉えていて、ユーザーにとっての恒久対策となるように各々のシステム部門に対して、問題発生の抑制に繋がるように意識的に提案をしています。例えば次期システム開発時のインプットに繋がるような部分ですね。

佐藤:ITILで言うところのSPOCが出来ているよね。

鈴木:そうですね。ユーザーのメリットを維持しつつ、前に話題にあがったように守備範囲を明確にしていくことも大事だと思います。総務寄りの問合せなど、ヘルプデスク以外の対応については、お客様からも役割を明確化したいという話もあるので。

佐藤:エンドユーザーへの周知、認識改善が大切ですね。

浅田:私の担当しているコンタクトセンターは、サービスに関すること全てを一か所で対応できることが大きな特徴であり、利用者からも満足の声を多くいただいています。
お客様(委託元)には、複数の機能を一か所に集約することにより各種リソースを効率的に活用し、コストを抑えた運用を実現することで、BPOサービスのメリットをご提供できていると思います。
また、サービス導入を検討中のお客様に向けたセミナーにスタッフがリモートツール(遠隔操作ツール)とスピーカーを使って、機能説明やコンタクトセンターのリモートサポートのデモを行いました。このセミナーに参加されたお客様にサービスをご契約いただいたのですが、「コンタクトセンターのリモートサポートや話法が素晴らしかった。契約後も安心して利用できると感じた」とのお言葉をいただき、ご契約の決め手になったようでした。コストセンターからプロフィットセンターへ変革できているんだなと、とても嬉しく思ったことを覚えています。

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