
キヤノンビズアテンダ株式会社
BPOサービス第一本部 BPOサービス二部 第三課長島 風児
株式会社マッキャン・ワールドグループ ホールディングス
オペレーション本部IT局 ITディレクター庄野 勝 氏
- 会社名
- 株式会社マッキャン・ワールドグループ ホールディングス
- 業務概要
- 本社および子会社を対象としたヘルプデスク業務および付帯業務
- 提供サービス名
- 社内ヘルプデスクBPO
- 体制
- 4名
- 運用期間
- 20年以上
幅広い役割を担うIT局
私が統括しているIT局では、海外ITチームとの協業プロジェクトの推進や予算管理、グループ各社の社長とのITに関するディスカッションや要件ヒアリング、社員からのネットワークやアプリケーションの問い合わせ対応など、中長期的な取組みから即時対応が必要なものまで幅広い役割を担っています。
組織的にはインフラチーム、アプリケーションチームにヘルプデスクを加えた3チームで、すべてのユーザーサポートを担当しています。
キヤノンビズアテンダさんには、インフラ、アプリ横断でヘルプデスク業務を委託しています。
現場に寄り添うITディレクター
現在は便利な世の中になりました。ソフトウェアもSaaSを利用すれば簡単に導入できる状態ですし、ビジネススピードもとても速くなっています。
しかし、グローバルの視点で見れば、残念ながら日本は遅れを取っていて、現場からは山積した課題をITで解決したいという強い要望があります。
私の立場からは、ビジネス成果を出すために問題をすぐに解決してあげたい、安くて速く使えるものを導入してあげたいという気持ちがある一方で、会社の方針に沿っているか、セキュリティの観点ではどうか、安かろう悪かろうというものではないかなど検討する必要があり、場合によっては「できません」という判断が必要なこともあります。
この判断は難しいところですが、頭の固いITではなく、現場の方と一緒に考える「現場に寄り添うITディレクター」でありたいと考えています。日々大変ですが、楽しさもありますね。
社員満足度が高いヘルプデスク対応
キヤノンビズアテンダさんには、ヘルプデスク業務を早番遅番の2シフト制、4名体制で対応いただいています。
ユーザーのIT環境で何かしらの問題が発生するとヘルプデスクに問合せが入るのですが、うまくコミュニケーションをとりながら、最短で問題解決できるように適切な切り分けを実施してくれています。
IT人材を採用する際、ITには強いがコミュニケーションが苦手という人は少なくないですが、キヤノンビズアテンダさんから来ていただいているメンバーはコミュニケーション面でもユーザーからの評価が高いですね。
当社では、社内アンケートを通じてITチームの社員満足度を測定しているのですが、そのコメント欄で実名を添えて「いつもお世話になっています」「バックオフィスの中で一番良いです」などのコメントもあり、ありがたいなと感じています。
ユーザーからは、フロントで対応している4名のヘルプデスク=IT局という印象があるので、ヘルプデスクのメンバーが社員ではないと伝えると驚かれ「ずっと社員だと思っていた」と言われる程、丁寧な対応をしていただいています。

0か1かという数字の世界で生きるIT領域の業務でありながら、ユーザーの問題を解決するためには、その真逆とも言える人と人とのコミュニケーション能力が大事です。
私からキヤノンビズアテンダさんに一番最初にお願いしたのは「性格が良い人をください」というオーダーでした。学ぶ意識や姿勢があればITスキルは後からでも良いというくらい重視しています。ヘルプデスクの最大の評価点はこのコミュニケーション能力です。
コミュニケーションスキルがトラブルシューティングに活かされ、最短ルートで問題解決することでユーザーはすぐに仕事に復帰できるため、ビジネス貢献にも繋がっていると考えています。
サーバントリーダーシップと主体性が育むワンチーム
私のリーダーシップスタイルは、サーバントリーダーシップなので支援型のアプローチを重視しています。チームの人に気持ちよく働いてもらうのが一番だと思っているので、こちらで方針を決めて「これでやってください」というのはあまりやりたくないんですね。
これはヘルプデスクに対しても同様で、もちろん私の意見は出しますが、基本的には相談ベースのアプローチで、テーマについて一緒に考えて、提案をもらい、方法を検討して、決定することを重視しています。
こうした私のスタンスと、キヤノンビズアテンダさん、ヘルプデスクリーダーの長島さんのスタンスが合っていて、やりやすいと思ってくれているからこそ、良い関係が出来て、業務が上手く運用できていると思っています。
もしも「業務委託なのに、なぜアイデアを出さなくてはならないんだ」というスタンスであれば、現在のような運用は実現できていないでしょう。
現在は、ワンチームとして協働できていて、長島リーダーも主体的に楽しくやってくれていると感じています。現場を知るメンバーが挙げてくる声は正しいことが多いと思っているので、現場からの提案は尊重し、良い方法であればサポートしたいと考えています。

組織の成長を支えるアウトソーシング
アウトソーシングは、2つの観点から組織の成長にも貢献していると感じています。
1点目は、増加する社員の業務を移管できる点です。
経営とITの距離が近くなり、新技術の導入が求められるなか、社員がこうした分野に注力するためには、社員が現在抱えている業務を移管して行く必要があります。
一例を挙げると、毎月2回の入社日にあわせて、新入社員の端末やIDなどを準備する必要があるのですが、グループ会社毎に端末設定やID作成などの設定内容が異なるうえに、申請から対応完了まで迅速な対応が求められるため、社員に少なくない負荷がかかっていました。こうした申請受付から完了までの一連の業務について、手順をフロー化してヘルプデスクに移管することで社員の負荷軽減と対応の安定化を図ることができました。
2点目は、社員のキャリアパス実現です。
社員のキャリアパスを実現させるためには、さまざまな業務の経験を積んでもらうための配置変更や、役割のステップアップなどを実施する必要がありますが、ユーザーのフロント対応を行うヘルプデスクで頻繁な担当変更を行えばサービスの質に影響が出てしまいます。アウトソーシングすることで、ヘルプデスクではスペシャリストによる安定的なサービスが提供でき、社員はキャリアパス実現に向けたプロセスを進めることができます。

ビジネスに貢献するIT部門として更なる組織変革を実現したい
ヘルプデスクの未来について「目指すべきところ」は時間軸の長短で分けて考えています。
短期的には、社員のビジネス活動の停止時間を最小化すること。これはヘルプデスク単体で問題解決できる範囲を拡張していくことがポイントです。
長期的には、ヘルプデスク機能の拡張です。
ヘルプデスク、エンドポイント(PC、タブレット等)対応といった現在の機能に、ネットワークの監視・問題切り分け等を含めて「オペレーション周りをすべて任せられるヘルプデスク」に機能拡張するというビジョンです。
現在、オペレーションマネージャーはインフラチームの社員が担っているのですが、この業務を徐々にヘルプデスクに移管しています。
これをさらに突き進めて、ヘルプデスクの中にオペレーションマネージャーを配置し、オペレーション周りをすべてヘルプデスクに集約する。
現時点では「ひとつの考えとして」という構想段階ですが、極端に言えば、社員はオペレーションについて何が起きているのか気にしなくて良いくらいヘルプデスクに委任できる環境を整備して次のステップにシフトできるという、更なる組織変革を実現したいと考えています。
ビジネスに寄り添い現場課題を解決できるIT部門であるために、私自身もヘルプデスクを含めたこれからのIT局に期待しています。
- 会社名
- 株式会社マッキャン・ワールドグループ ホールディングス
- 本社所在地
- 東京都港区南青山1丁目1番1号 新青山ビル東館 23F
- 事業内容
- 全子会社に対して経理、購買管理、IT、総務、人事、法務、経営企画、グループ事業推進、コーポレート・コミュニケーションズ等のサービスの提供
※本事例の内容は取材当時のものです。